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山田方谷に学ぶ財政改革―上杉鷹山を上回る財政改革者
野島 透
明徳出版社
2002-05
価格 ¥ 1,365 (13pt) / ユーズド ¥ 423 定価 [¥ 1,365]
おすすめ平均:
時代を先取りした「至誠惻怛」の経世家
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    カスタマーレビュー

    時代を先取りした「至誠惻怛」の経世家 評価: stars-5.gif

     山田方谷(やまだほうこく,1805?1877)といっても、余程の歴史好きでなければこの名を知る人は少ないのではないだろうか。方谷については、脇本祐一著『豪商たちの時代』(日本経済新聞社,06年)の中でも、「貧乏板倉(藩主名)」と揶揄された備中松山藩(岡山県高梁市一帯)における「藩政改革」の実績に触れているが、何と言っても彼は、「大政奉還」上奏文を起草し、明治維新後、大久保利通などから新政府入閣を乞われていたほどの幕府方の逸材であった。そして、農民出身で「領民から慕われた方谷は、その名が中国山地を横断するJR伯備線に『方谷駅』として残って」おり、それは「人名を冠した唯一の駅」でもあるらしい(脇本前掲書)。

     さて、幕末を代表する陽明学者で、危機に瀕した藩財政を立て直すとともに、司馬遼太郎の『峠』で有名な河井継之助や漢学塾・二松学舎創始者の三島中洲などを育てた教育者でもあった方谷であるが、「藩政改革」で先ず思い浮かぶのは、彼も尊敬していた米沢藩主・上杉鷹山(1751?1822)であろう。ただし、この両者の“改革の成果”を時間と数字で比較すると、方谷の方が断然上をゆく。すなわち、鷹山の進めた改革は、20万両の借金があった1767年に始まり、5千両の剰余を残した1867年に終わったのであるけれども、方谷のそれは、10万両の赤字があった1849年に始まり、10万両の黒字を残した1857年に終わったからである(本書)。

     先出の脇本氏は「方谷の改革は大きく分けて情報公開、緊縮財政、殖産興業の三点に尽きる」と概括しているが、財務省に勤務し、方谷の直系子孫にあたる著者の野島透氏は、方谷の改革を「産業政策」「負債整理」「藩札刷新」「上下節約」「民政刷新改革」「教育改革」及び「軍制改革」の7つの政策に類別して解説し、当然、現代に通底する改革(思想)も少なくない。ただ、私個人の感想として、セーフティネットとしても機能した「貯倉」や江戸直送という流通革新、「備中鍬」に代表される技術革新の思想などに注目するとともに、「生き馬の目を抜く大阪商人の目を抜き取った」とされる方谷の「誠意と度胸」(本書)にも感心してしまう。


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