| 石垣島に赴任した著者が、大好きな昆虫採集を通じて知り合った、虫屋と呼ばれる変人・奇人とのかかわりを日記形式のエッセイとしてまとめている。いかにも南国らしい極彩色に輝くカミキリムシやコガネムシのグラビアも美しい。 ところでこの虫屋たち、亜熱帯のジャングルを歩き回って一週間も風呂に入らない人や、洗濯をしないシャツを着続けている人なんていうのはザラ。こういうのは山屋にも多いんで、僕にはすでに免疫が出来ているが、洞窟性カメムシを採るために、汗とコウモリのウンコだらけになりながら、真夜中の洞窟で悪戦苦闘する姿や、吸血性のダニに全身食いつかれてしまうおぞましい話など枚挙にいとまがない。また、虫屋にもカメムシを専門に採る人や、バッタやカミキリムシ、クワガタ、ゴ???ムシ、ハサミムシなどそれぞれの専門家がいて面白い。 僕は虫を集める昆虫マニアでないが、こうしたマニアックな人たちの話は聞いているだけで面白い。ずっと以前、出久根達郎のエッセイで、こと“集める”ことに関しては、尋常ではない古書マニアと呼ばれている人たちの話を読んだことがあるが、それには、「収集という行為は、男性的なものであり、女性のマニアというのは大変少ない」と書かれていた。そういえば、女性の昆虫マニアというのもあまり聞かない。まして、カメムシやハサミムシを専門に採集しているという人も聞かない。そうした意味では、この本、女性には売れないと思うけど、昆虫マニアだけにとらわれず、『どくとるマンボウ昆虫記』を夢中で読んだ物好きには、買って損はしないだろうことを保障したい。 |