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| 熱帯樹。 評価: |
| アパートの一室、2人の男女の探り合いと会話で成り立つ朗読劇のような小説。 猜疑心、お互いが「相手があの男を殺した」と切り札を持っち腹のさぐり合う。 緊張感のつづく会話。 半分血の繋がった近しいきょうだいは恩田作品のモチーフのひとつ。 誰か、いつ、どうやって、誰を殺したのか。 謎解きや真実を突き詰めていくうちにお互いの化けの皮がはがれていく様はさすが。 |
| いつも同じじゃないのかな、っと 評価: |
| 昔は恩田陸さんのファンだったのですが、最近それも若気の至りとも思える気がしてきました。
パターンは「藪の中」。兄と一緒に腹違いの妹が暮らすという設定も、いくら小説だとしても リアリティが無いし、第一父親だと思われる人物と山登り中に遭遇するというのも ご都合主義だ。 主人公の二人ともがナルシシズム全開なんですよ。そこが恩田さんの特徴ともいえるのかな。 三人の農夫の引用もこれまた、さもありなん。 読書中の楽しみも、残るものもないです。 |
| たった二人、限られた時間 評価: |
| 明日からは別々の人生を歩きはじめる一組の男女が、
ともに過ごす最後の一夜。 たった一夜、2DKのささやかなアパート、登場人物は2人だけ・・・。 閉塞感すら感じさせそうな、こじんまりとした設定ながら 回想の中で場面はいろんなところへ飛び、奥行きのある作品でした。 読み応えたっぷりです。 隠されていた真実、考えられる憶測をつなぎあわせていくにつれ、 2人の関係も微妙に変化していく。 最後の2人の気持ちのおさまり方は女性作家ならでは! これぞ恩田陸! 真実はわからないまま、謎は謎のまま残るのに、 ラストは晴れ渡る青空のように清々しい。 不思議な余韻が残ります。 |
| 見事な余韻 評価: |
| 起承転結の順番が順当ではない作品。
別れる日の直前、一組の男女が、これまで暮らした部屋で、多くの事を回想します。 心理描写は繊細です。 著者の作品からは、著者が女性である事を感じさせる、独特の感性が伝わってきます。 内容は明るいものではありません。 何しろ、別れの物語なので、明るくないのは当然ですが、一人の人間の死も関係しています。 また、本当に兄妹なのか?恋人なのか?と悩む下りがありますが、この部分の描写は、ことさら重いです。 結局、本当の結論はどうなのか? この作品は、あまり真実の追求にこだわるよりも、読む事自体が楽しい作品でもあります。 ただ、著者の他のいくつかの作品で感じられる様な多倖感は伴わず、むしろ、少し沈んだ気分にもなります。 作品を締めくくる余韻は見事です。 価値ある一冊です。 |
| 人の心の不思議を描いた、演劇的な作品。 評価: |
| いつもながらの恩田陸ワールド、と言うべきだろうか。
読み始めたら最後、読み終えるまで本を閉じることができなかった。 一体これから何が起きるのか? あるいは、過去に何が起きてしまったのか? それは、たとえば猟奇的な殺人事件か何かなのか? 猟奇的ではなくても、少なくとも殺人事件なのか? いや、殺人事件ではなくとも、何かもっと凄惨な、起きてはならないような何かなのか? ――そんな恐怖と緊張に駆られて、一気に読みきった。 読み終えて思うのは、やはり人の心は不思議なものだな、ということ。 それは恩田陸という作家が一貫して描いているテーマの一つでもあろう。 それから、この作品は、すぐれて演劇的な作品のようにも感じた。 つまり、三次元化するなら、映画ではなく舞台が適している。 おそらく著者も、それを想定しながら書いたのではないか。 外れているかもしれないが、そう勝手に感じた。 舞台のセットはいたってシンプル。 引っ越し前夜の2DK、荷物はほとんど運び出されている。 登場人物は、二人の男女。二人だけ。 回想シーンで登場する何人かの人たちをどう描くかが難しいが、基本、二人芝居が正しいと思う。 二人の間に渦巻くさまざまな想念たち。 過去の出来事をつぶさに辿る中で、次第に明らかになる真実。 それに伴って、時に激しく、時に静かに、移ろいゆく二人の心理、感情、思惑。 緊張感に満ちた、いい舞台になるのではないか。 恐怖に駆られて読んだ、と書いたが、もちろんホラーではなく、むしろラブストーリーのはずである。にもかかわらず、この煽り方、掻き立て方は、さすがにうまい。 読後感としては、もやもやしながらも、いちおうすがすがしい。 人によって受け取り方は違うだろう。 とにかく、舞台化したい。 きっとすごく面白い舞台になるに違いない。 |
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