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がらくた
江國 香織
新潮社
2007-05
価格 ¥ 1,575 (15pt) / ユーズド ¥ 1 定価 [¥ 1,575]
おすすめ平均:
瞬間性について
がらくた
深い!!
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    カスタマーレビュー

    瞬間性について 評価: stars-5.gif
    愛し合いながらも、他の異性との付き合いを容認している夫婦。
    夫が必要ならば、そのガールフレンド達ごと夫を所有するしか
    ないらしい。
    例えばこんなシーン。
    夫に呼び出されたバーには、ガールフレンドも同席している。
    女性二人は現代美術について語り合い、その様子を見て夫は
    「きみら二人は気が合うんだな」と微笑む。
    江國さん独特の文体と世界観のおかげで下品な印象は受けないが
    それでもその光景はひどくグロテスクに感じる。

    「ほんとうのことがわかる」ため「渇望し続ける」ために、
    「遠くに行」かなければならない、と夫は言う。
    そして、妻の柊子は、夫から愛されるために他の男と寝る。
    お互いをより深く強く所有するために、敢えて離れる時間を持ち、
    再会した時にお互いを再発見するのだ。
    柊子は、夫に所有されることによって、はじめて開放されたと言うが、
    本当は夫に支配される前の自分に戻りたい気持ちもある。
    結婚なんて一生しないタイプだったし、出会った頃は人並みに
    嫉妬心も持っていたのに、少しずつ夫に取り込まれてしまった。
    過激な表現をすれば、手の込んだ精神的DVとも言える。
    こういう関係は一部の進んだ人達の中にはあるのかも知れないが
    一般的価値観からすると、理解し辛いと思う。

    江國さんの作風は好みが分かれるけど、わたしには結構心地良い。
    この作品のテーマは、「瞬間性」みたいなものかな。
    今は亡き人達が息づいていた頃を取り巻いていたはずの無数の瞬間
    について、または、今はそばにいる母もいなくなる時が必ず来る、
    そしてそれでも世界は何も変わらないというのが認められない、
    といった表現で幾度となく描かれていたし、
    果物が傷んだり腐ったりしないようジャムにしてとっておく、
    というエピソードにも象徴されている。
    特に、子供と大人の中間にいる少女ミミの、今しかない輝きに対する
    「私は自分がミミをまぶしいと思ったことに気づく。
     ミミの持っているものではなく、持っていないものによる、
     それはまぶしさだ。」
    という文章に集約される。
    大切な人や物や感情や関係性や過ぎてしまう瞬間を不変のまま
    保存したい、それが叶わないからこそ欲してしまう・・・のだろうな。

    【番外篇】
    ミミのキャラって何処かで見たような・・・と記憶をたどったら
    村上春樹「ダンスダンスダンス」のユキでした。
     ・10代前半で不思議な魅力を持つ少女
     ・両親は離婚していて母親に引き取られている
     ・父はインテリな仕事で、母は天衣無縫
     ・年上の男性「僕」との関係
     ・海外のビーチで泳いだりサーフィンしたり
    あまりにも類似点が多い。
    作家がイメージする魅力的な少女像ってパターン化されてる?

    がらくた 評価: stars-5.gif
    1人称での登場人物は40代の柊子さんと女子高生のミミ。
    舞台の始まりはプーケット。
    柊子さんは母親の桐子さんと、ミミは父親と。
    話の流れは柊子さんとミミの父親の関係になるのかと思うのだけれど、
    実際にはそうじゃない。
    メインはミミの感受性。
    サブメインとして柊子さん、の夫との恋愛関係。
    桐子さんの独特な性格が作品に色を添えていると思う。
    若干だけれど、読みにくさは感じる。でも苦痛じゃない。
    内容も濃い。
    村上春樹の作品にも通じるものを感じる。
    僕はすごく好い作品だと思います。

    深い!! 評価: stars-5.gif
    男と女、オトナとコドモ
    夫婦、浮気、離婚
    幸せと不幸せ
    孤独とその反対のなにか

    そんなものたちについて
    考えさせられる小説。
    なんですが、私の最初の読後感としては
    なんて鼻持ちならない小説だ!
    と思ってしまった(笑)
    だってまず、お互いに浮気を容認しているのに
    みょーにラブラブな夫婦の感じがいやらしい。
    ある意味理想的とも言えるかも?だけど
    実際そんなにうまくいくわけがない。
    妻、柊子の語り口は複雑だ。
    私にしてみれば、なんだかすごくムリをしているようにも見える。
    一方では、思春期の娘とリゾート地でバケーションする
    バツイチ父親の行動もいやらしい。
    そのふたつのいびつ?な家族がからみあっていく
    というストーリーなのですが。

    筆者はこの小説でなにを語りたいんだろう。
    「がらくた」ということばはこの物語の中で
    たしか1回しか出てこなかったと思う。
    柊子の母、桐子が夫亡き後、住んでいた家から持ち出してきて
    現在のマンションに置いている
    古くて大きすぎる家具たちをこう説明した。
    長い夫婦生活を象徴するそれらが「がらくた」と呼ばれると
    なんだかハッとさせられる。

    それらをがらくたと呼んでしまうことは
    なにかの反語なのだろうか?
    あるいはそう呼んでしまえるってことが
    ある意味理想なのだろうか?
    だからなかなかそうは呼べないのだけど
    いつか悟るようにしてそう呼べることを
    願っているのだろうか?
    そういう理想の世界を描き出したフィクション
    なのかもしれないと思えたとき、
    はじめて私はこの小説がなんて深いんだ!と思ったのでした。

    みなさんはこれどう思いますか〜??

    残念 評価: stars-5.gif
    最近の作品はどれも共感できなくて残念です。

    大人の男女の恋愛としてはこういう形があっても良いと思うのですが
    昔は同じ作品を書いていてももっとキラキラと魅力的に描かれていた
    気がします。

    全体的にボンヤリとしていたし、後味も悪かったです。

    未来形 評価: stars-5.gif
    江國香織は進んでいるなぁ、まっしぐらに。と感じる。
    流行の商業作家が「今」を描き出すことに一生懸命(それが売れる事であり、作家の使命だから)なのに、この人はそんなことはお構いなしにぐんぐん行っちゃっている。勇敢だ。その姿勢に敬意を表したいくらいだ。同じような姿勢を村上春樹にも感じるけど、女性で、こんなに素敵な表現を持ち合わせていて、それが出来る人は、少ない。
    キャリアを重ね、歳を重ねる毎に深まっていく、人間という生き物の奥深さと不思議。そこに光なり切れ目なりを入れるのは、ある種の勇気が要る行為だと思う。
    15歳のお嬢さん育ちの女の子が45歳のおじさんを本気で好きになるはずない、という程度の想像力しか持てない人は、着いてこなくて良し。人間は想像以上に多面的で、多種で、複雑な生き物なんだから。幸せのイメージは一つや二つではない、もしかして星の数ほどあるのかも知れない。最悪の中の最高もある。
    江國香織にはその辺を、どんどん追求し、その美しい文章でなりふり構わずぶちかましてもらいたい。貴著な未来形の作家だと思うから。


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