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| パズルとしても、小説としても秀作 評価: |
| 「天才」須田武志謎の暴投、東西電気爆弾未遂事件、北岡明殺人事件、須田明殺人事件と多数の事件がひとつの作品の中で起こる。
一作品で全く別の事件をとりあげて、それをつなげていく手法は東野圭吾作品でもよう見られるのだが本書ほど事件の数が多かったものはなかったのではないだろうか。 まったく違う事件の点と点をつなげて船にしていく過程が、「さすが東野圭吾」と思わされた。 点と点が結びつくまでは読みながら読者は「ここはこういうことなんじゃないか」と読んでみるのだが、その「応え」を見てみると、「あー、そういうことね」と思わず声を出してしまう。 しかし、本作が素晴らしいのはこういった「パズル性」だけでなく「小説」として素晴らしいからだと思う。 本書の解説に「ミステリーは謎解きの面白さと同時に小説的な魅力を併せ持つべきだと考えている」と書かれている。 これはまさにその通りで、「犯人当て」よりも、むしろ犯人の「動機」だったりその「背景」にこそミステリーの魅力があると思う。 「パズル性」と「小説性」がうまくまじりあっている作品なので多くの人に読んでもらいたい。 |
| 最後の武司の事件を犯した部分が・・・ 評価: |
| 話の途中までは良かったのですが武司の裏切られたらキレて何をするかわからない性格から犬を殺してそのまま友達まで殺してしまう部分が何かしっくりこなかった。裏切られたからって犬まで殺すか?と思った。あそこの部分がかなり内容が薄いように感じた。ああいう風にするならもう少し武司の性格がわかるような描写が他の部分であったらよかった。 |
| 青春推理の傑作 評価: |
| 昭和39年のセンバツ、九回2死満塁。主人公の須田は「魔球」を投げた。それが勝負を決める1球になった。その後、その試合でキャッチャーをしていた北岡が殺される。
南海の野村(現楽天の監督)の名前が出てくるところや、赤電話、家に電話がないといった設定に時代を感じる。やはり、少し古臭い感じは否めない。 ダイイング・メッセージが出てくるのだが、それにも時代を感じざるを得ない。推理小説には時にダイイング・メッセージが出てくるが、今はケータイがある。そんなメッセージを書く前に、家族か救急車を呼べばいいのだ。だいたい、死ぬ前に事件解決に役立つようなメッセージを書こうなどと思うはずがない。家族や恋人へのメッセージにしたほうが、よほど自然である。…と途中までは思っていたのだが、実際はそれはダイイング・メッセージではなかったのだ。著者の説明は、もっと自然であり、十分に納得できる。 主人公の人物像はよく描けている。その顔や姿のイメージまで浮かんでくるほどに。とても、作者が書いた2作目のミステリーとは思えない。本当によくできている。乱歩賞受賞作の「放課後」も読んだのだが、あまりすごいとは思えなかった。殺人の動機には光るものがあったが。私なら、「魔球」のほうを乱歩賞に選びたい。野球好きとしては特に楽しめる作品である。ただ、前述のように設定が古すぎるので、ちょっと物語に入り込めない部分があった。その部分がなければ星5つをつけられただろう。 |
| 初期作品の最高傑作 評価: |
| 高校野球の天才ピッチャーを主人公にした青春ミステリー。
彼らの純粋さ、ひたむきさ、情熱や友情がとても丁寧に描かれており好感を持てた。 わりとマイナーな作品だがこれは多くの人に読んでいただきたいと思う。 冒頭に野球のワンシーンを持ってきているため、 あまりそちらに詳しくない人は一瞬怯んでしまうかもしれない。 しかし、そこを越えれば後は特に野球の知識がなくても問題はないので、 頑張って読み進んでもらいたいたい。 天才エースの野球にかける思いの裏には一体何が隠されているのか? それが全ての鍵になり、謎めいた雰囲気プンプンでストーリーが展開する。 そして、最後にパズルのピースがひとつずつはまり始めた時に受ける衝撃と感動は抜群。 お勧めの1冊。 |
| 25歳の会社員東野圭吾が投げ込んだ「魔球」 評価: |
| 本作は、実質的な著者のデビュー長編といえ、
江戸川乱歩賞の最終候補まで残った力作です。 ちなみに、著者は当時25歳、会社員をしながらの二足のわらじです。 本作のクオリティの高さと共に、驚くべきことです。 高校球児殺人事件と某大企業の爆破未遂事件。 一見関係のないこれらが次第に交わっていく、キーワードは「魔球」…。 上記の事件の相次いだ昭和39年(1964年)は高度成長期の只中である一方、 その繁栄に至るまでの間に、ある球児の生い立ちを歪め、 繁栄を謳歌する陰で、ある有望な社会人選手の未来を奪った。 本作は、一見複数の難事件の真相究明に焦点を当てているようでいて、 上記のような社会派的な視点も巧みに織り込んであり、 また、確かに存在した(そして現在復活しつつある)貧困も描かれており、 著者の出発点における確かな実力をうかがわせる名作であると思います。 |
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